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乾燥果皮(カビ毒・残留農薬)監視リスクと実務対策

乾燥果皮(シナモン等)

  • 乾燥果皮はアフラトキシンB1 10 μg/kg、総アフラトキシン15 μg/kg、オクラトキシンA 10 μg/kg以下の基準を遵守。
  • インドネシア(カビ毒)、ベトナム(農薬)、中国(異物)、スリランカ(カビ毒)など国別リスクを把握。
  • 船積み前にISO17025認定検査でカビ毒・農薬・異物を確認、水分12%以下を維持。
  • 必要書類:輸入食品等届出書、衛生証明書、検査証明書、水分測定証明書、工程図、ロット管理表。
  • 違反時は販売停止・隔離・原因調査・契約見直しを即実施し、再発防止策を共有。

輸入リスク背景(農薬・カビ毒・異物混入)

乾燥果皮(シナモン、オレンジピール、レモンピールなど)は、香辛料や製菓原料として広く利用されます。主な輸入国はインドネシア、ベトナム、中国、スリランカなどで、農薬残留、カビ毒(アフラトキシン、オクラトキシンAなど)、異物混入が重点監視の理由です。特にシナモンは乾燥や保管の過程でカビが発生しやすく、管理が甘い地域では違反率が高くなります。

食品衛生上の主なリスクは以下の通りです。

  • 残留農薬(原産国で使用される農薬の一部は日本未承認のものがある)
  • カビ毒汚染(アフラトキシン類、オクラトキシンA等)
  • 異物混入(金属片、木片、昆虫片など)

特にシナモンは乾燥・保管中に湿気を吸収しやすく、管理が不十分であればカビが発生する可能性が高くなります。

最新の基準値と規制情報(2025年時点)

  • アフラトキシンB1:10 μg/kg 以下(厚生労働省告示)
  • 総アフラトキシン:15 μg/kg 以下
  • オクラトキシンA:10 μg/kg 以下(スパイス類に適用)
  • 残留農薬:食品衛生法に基づくポジティブリスト制度を適用(対象農薬は500種以上、基準値は最新公布分を参照)

2024〜2025年にかけて、一部農薬の基準値改正やカビ毒規制の国際整合化(Codex基準との調整)が進行しており、輸入業者は必ず最新の官報・厚労省通知を確認する必要があります。

検査技術の最新動向

近年、カビ毒や農薬のスクリーニング技術は大きく進化し、精度が向上しています。

  • カビ毒検査:LC-MS/MSやHPLCを用いることで、アフラトキシン4種類とオクラトキシンAを一括で定量できます。
  • 残留農薬検査:GC-MS/MSとLC-MS/MSを併用し、200〜300成分を一度に分析する方法が主流になっています。
  • 異物検出:X線検査装置や3Dスキャナーを港湾倉庫で即時使用できるようになっています。
  • サンプリング:統計的手法(AQL基準)を活用し、検査の信頼性を高める取り組みが増えています。

国別違反傾向と主なリスク要因

主な違反傾向要因
インドネシアカビ毒(アフラトキシン)天日乾燥品比率が高く湿度管理不十分
ベトナム農薬残留違反日本未許可農薬の使用例あり
中国異物混入保管・再包装時の衛生不備
スリランカアフラトキシン、オクラトキシンA乾燥・保管工程の衛生管理不足

最近の違反事例

  • インドネシア産シナモン:アフラトキシンB1 20 μg/kg(基準値の2倍)
  • ベトナム産オレンジピール:日本未許可の有機リン系農薬検出
  • 中国産レモンピール:木片・金属片混入
  • スリランカ産シナモン:オクラトキシンA 10 μg/kg(基準値超過)

実務者向け輸入管理ポイント

乾燥工程の確認

  • 製品が天日乾燥か機械乾燥かを確認します。
  • 天日乾燥の場合は、衛生対策としてネットカバーなどの使用を輸出国に指示します。

船積み前検査(現地)

ISO17025認定検査機関で、カビ毒、農薬、異物の検査を実施します。

港到着後の迅速検査

  • X線検査や金属探知機で異物を確認。
  • 水分測定を行い、基準値である12%以下を維持しているかを確認します。

バルク輸送時のリスク管理

港での荷役中に湿気や異物が混入しないよう、荷扱い後はすぐに密封し水分を測定(目安12%以下)。

ロット追跡管理

  • ロット番号の形式例:「CIN-2025-08-001」。
  • サンプル500gを密封し、最低2年間保管します。
  • サンプリングはロット単位で均一に行います。

契約書での基準適合責任

品質基準(良品・不良品基準)を明確化し、不良品発生時の責任範囲と費用負担を契約書に明記します。

現地監査の継続

年1〜2回の定期訪問で、設備や衛生面の改善指導を行います。

国別必須検査項目指針

  • インドネシア:アフラトキシン、オクラトキシンA
  • ベトナム:残留農薬、アフラトキシン
  • 中国:異物(金属・木片)、残留農薬
  • スリランカ:アフラトキシン、オクラトキシンA

必要書類一覧

  • 輸入食品等届出書(FAINS/NACCS)
  • 衛生証明書
  • 船積み前検査証明書(カビ毒・農薬・異物)
  • 水分含有率測定証明書
  • 製造工程図・乾燥方法説明書
  • ロット管理表・サンプル保管記録

違反時の初動対応フロー

  1. 検疫所から違反通知受領
  2. 該当ロットの販売中止・出荷停止
  3. 在庫隔離と廃棄/返品の判断
  4. 原因調査(輸出側報告含む)
  5. 契約条件・工程管理の見直し
  6. 改善措置結果を文書化し、再発防止策を共有

品質保持・検査・保管の実務TIPS

  • 船積み前検査:ISO17025認定ラボで実施し、品質を確認します。
  • 倉庫保管:湿度は60%以下、温度は25℃以下を維持します。
  • バルク品の取り扱い:港で荷扱い後、食品グレードの密封容器にすぐ移し替えます。
  • 長期契約時の対応:品質保持マニュアルを共有し、現地スタッフへの教育支援を行います。

まとめ

乾燥果皮は、カビ毒、農薬、異物混入といった複合的なリスクを持つため、重点監視品目に指定されています。

  • 事前準備:国別の必須検査項目や必要書類をあらかじめ確定し、現地での工程における衛生改善を徹底します。
  • 管理体制:ロット管理、契約条件、検査依頼文をしっかり整備し、通関の遅延や違反のリスクを最小限に抑えます。

食品届(輸入貿易コンサル

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