「再製作品の輸入は違法なの?」の疑問をクリアにする!
海外の通販サイトやアリババなどで販売されている「リプロ品」「コピー商品」「アニメグッズ風アイテム」などを見て、「これを日本に輸入しても大丈夫なのか?」と疑問に思ったことはありませんか?これらは「再製作品」と呼ばれ、著作権や商標などの知的財産権と関係してきます。
この記事では、再製作品の定義、関連法規、税関での対応、個人輸入と業輸入の違いなどを解説していきます。
再製作品とは?その定義と具体例
再製作品とは、すでに存在する著作物などを元に再度製造された作品のことです。リプロダクション(Reproduction)、コピー商品、パロディ作品、模倣品などが該当します。
- 海外で販売されている有名アニメキャラクターのフィギュア
- ブランドロゴを模したバッグ
- 過去の名画を模写したアートプリントなど
これらは見た目が本物そっくりである場合も多く、購入者が本物と誤解する可能性があるものも多いです。
しかし、単に「似ている」だけではなく、それが元の著作物の権利を侵害しているかどうかが問題です。ここでは「正規品」と「再製作品」を明確に区別する視点が必要です。
輸入に関わる主な法規制
日本で再製作品を輸入する際には、いくつかの法律が関係してきます。
- 著作権法
- 関税法
- 安全保障管理
著作権法では、原著作者の許可なく複製や改変した作品を輸入・販売を禁止しています。また、商標法や意匠法も、ブランド名やデザインの模倣に対して厳しく規制しています。
関税法の観点
関税法では、「商標権、著作権、意匠権などを侵害する物品」の輸入を禁止しています。税関は通関時にこれらを監視しており、該当すると判断された場合は、貨物が一時保留される「認定手続き」が開始されます。
安全保障貿易管理制度の観点
経済産業省が所管する安全保障貿易管理制度では、特定の物品や技術の輸入についても制限があります。これらの制度により、外見上は無害に見える物でも、規制対象となることがあります。
個人使用と業としての輸入の違い
よくある誤解が「個人使用だから問題ないだろう」という認識です。確かに、自分自身が使用する目的で輸入する場合には、商標権侵害が問われないケースもあります。
しかし、これはあくまで例外的な扱いであり、税関や裁判所はその輸入実態を審査します。
例えば、「同じ商品を複数回輸入」「SNSやフリマアプリで販売している事実がある」などが確認されれば、個人であっても“業”としての輸入と判断され、違法とされる可能性があります。
また、2021年の法改正により、海外業者が日本人を利用して模倣品を輸入させる行為についても、個人輸入でも違法とみなされることになりました。

反復性(繰り返し輸入し販売する行為)は非常に重要な観点です。
税関での手続きと実際のトラブル事例
日本への輸入時に税関が疑義(疑わしいと感じること)を持った場合、輸入者には「認定手続開始通知書」が届きます。これは「あなたが輸入しようとしている商品が知的財産権を侵害している可能性があります」という通知です。
この手続き中は、貨物は通関保留となり、輸入できません。輸入者は税関に対して商品が正規品である証拠を提出するなどの立証責任が生じます。当然、証明できなければ、その商品は没収されます。
また、認定手続き中は、港や空港での保管費用が発生することもあり、想定外のコストが発生する場合もあります。また、個人で輸入した際に「知らなかった」「正規サイトだと思った」と主張しても、善意だけでは免責されないケースもあります。
最新の法改正と取り締まり動向
2021年に施行された改正商標法では、海外業者が日本の個人ユーザーに模倣品を販売し、それを日本へ送付する行為に対しても、違法行為として取り締まりの対象となりました。
従来は「非営利目的の個人輸入」は商標権侵害の対象外とされていましたが、権利者の被害が拡大していることを受けて、より厳格な対応が可能となっています。
現在では、海外ECサイトと連携して税関が監視を強化しているため、「知らずに輸入したつもりが、権利侵害で処分された」という例がますます増えています。
実務上のポイントとよくあるQ&A
輸入前にできる対策には、次の物があります。
- 輸入予定の商品が第三者の知的財産権を侵害していないか確認
- 販売者や製造元の信頼性を調査する。
- 不明点があれば専門家または税関に事前相談をする
Q:アリババで買った商品は輸入しても大丈夫ですか?
販売者が正規ライセンスを取得していなければ、商標・著作権侵害の可能性があります。
1個だけの個人輸入ならセーフ?
用途や頻度によっては“業”とみなされることがあります。要注意です。
Q:模倣品と知らずに輸入した場合はどうなる?
原則として没収対象になります。善意であっても通関は通りません。
相談先・参考リンク集
まとめ
- 再製作品とは、既存著作物を模倣・複製した作品の総称であり、知財権の侵害対象となりうる
- 日本の法律では、商標法・著作権法・関税法により厳しく規制されている
- 自己使用であっても、場合によっては違法と判断される可能性がある
- 税関で止められた場合、証明ができなければ没収・廃棄処分となる
- 法改正により、海外業者を通じた個人輸入も規制対象になっている
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