中国輸入時のアライバルノーティスには「システムチャージ(system charge)」が加算されていることが多いです。ところがこのチャージ。路線が違ったり、フォワーダーが違ったりすると、かからないこともあり、実に怪しいものです。
システムとの言葉が使われているため「何らかの機械を使ったお金?」と感じますね!実は、システムチャージは、日本では考えられない「商売の悪知恵」が詰め込まれています。
そこで、この記事では、システムチャージの正体、加算要素、対策法などをご紹介していきます。
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システムチャージとは?
システムチャージとは、中国からの海上費用に加算される費用です。これは、1980年代、日中間でコンテナ輸送が始まったときに、在来船とコンテナ船の数を調整するために、日本側の荷主が調整に必要な費用を支払ったことに始まります。以降、この悪しき習慣は、今日まで続き、中国から輸入するときの「必要費用」として支払わされています。
以下が問題の「システムチャージ」です。このお客様は、輸出者に対して輸送費込みの料金を支払っています。(CIF TOKYO PORT=フレイトプリペイド)しかしながら、実際に貨物を引き取る際に発行されたアライバルには”必要費用”として、計上されています。
ちなみに、このシステムチャージを含む各種料金は「M3単位」で課金されるため、高額になりやすい点も大きな問題です。例:全体の荷物が6M3の場合→ システムチャージだけで480ドル(80ドル×6)の請求
システムチャージ/System Feeが存在する理由
システムチャージは、日中間の船の数を調整する目的で始まった費用です。しかし、今日でも、このシステムチャージは存在します。この理由は、中国側のフォワーダーによる過当競争にあると言われています。日本と中国とのコンテナ船は、中国→日本の流れが圧倒的に多く、この逆は少ないです。
中国から日本のコンテナ船は、ドル箱路線であり、中国側のフォワーダーは、いかにして、日本向けの荷主をつかまえるのか?が重要です、
そこで、この過当競争の中で思いついたのが「中国側の荷主に特大サービス、送料無料キャンペーン」をして、すべて日本側の荷主に支払ってもらおう!です。これが今日のシステムチャージの存在です。
つまり、本来であれば、中国側の荷主が支払うべき以下のような費用
- 中国国内の陸送費
- 輸出通関費
- さらには、中国と日本の輸送費
をすべて無料にして、これを日本側に「システムチャージ」などとしてぶつけているのです。実にふざけたシステムです。中国側の荷主は、本来、支払うべき費用を支払わなくてもよく、むしろ、買い手側に輸送費として請求している費用がそのまま儲けになります。
「最終的な費用は、すべて日本側の荷主に支払わせればいい」という荷主とフォワーダーの結託による産物がシステムチャージです。
本質的な問題は、輸入者の無関心さ。
システムチャージの本質的な問題は、輸入者の無関心さというか、無知といいますか、その辺りにあると考えています。フォワーダーは、あまりにも当たり前に各種チャージを請求してくるため、輸入者側も「システムチャージは、払うのが当然」だと考える方が多いです。
しかし、実際は、売り手側や依頼するフォワーダー等によって、システムチャージの取り扱いは違います。参考程度に、過去、弊社の通関代行で取り扱ったお客様のアライバルに掲載されていたチャージ額をご紹介します。
- 2000円/M3
- 3000円/M3
- 5000円/M3
- 12000円/M3
最大6倍ほども開きがあります。特に新規の輸入者さんは、ターゲットにされやすいです。ただ…..何も知らない輸入者は、ご自身が「ぼったくられていること」すらわかっていないので、そのまま商売として成り立ってしまうのです….汗
自称、輸入ビジネスコンサルタントは、この辺りの事情をほぼ知らないので気をつけましょう!どれだけうまく販売し、商品開発をしても、物流部分で利益を持っていかれたら、利益は一気に低下しますね!
アライバルノーティスの数字にうるさくなりましょう!
システムチャージを防ぐには?
では、このシステムチャージを防ぐには、どうすればいいのでしょうか? ここでは一つの方法をご紹介します。まず「アライバル計算ツール」で簡易的な診断をしましょう。手元にあるアライバルと見比べて、あまりにも数字がかけ離れている場合は、売り手又は、フォワーダーのどちらか、又は両方が問題があると判断できます。
もし、「ちょっとやられているな~」と考えたら、次回以降は、次のようにしてみましょう!仮にCIFとEXWの金額が同じ場合は、その売り手は「きわめて黒」だと判断できます。
- インコタームズをEXWに設定する。
- 中国倉庫から、自身が手配したフォワーダーに依頼する。
生産品を中国の工場で引き取ることにします。そして、中国の工場から、日本までの輸送部分をご自身が手配したフォワーダーに依頼します。こうすることで、自分がコントロールできる幅が最大となり、輸出者側や輸出者と結託するフォワーダーから無駄な費用を請求されずらくなります。つまり、ノミネーションフォワーダーという仕組みを活用します。
よくある疑問
Q.システムチャージの支払いを拒むと?
仮にシステムチャージの支払いを拒むとどうなるのでしょうか? この場合、フォワーダーは、貨物の留置権を盾にして、あなたに対して「D/O」等を発行しない可能性が高いです。
ご存知の通り、港で貨物が留め置かれると、日毎にデマレッジも発生するため、この部分を利用して「不払いできるならしてみろ!」の勢いで、システムチャージを支払わせます。つまり、貨物を人質に取り、必然的に料金を支払わせるのです。
Q.システムチャージは加算要素になる?
日本に貨物を輸入するときは、税関に輸入申告をします。「私は、この荷物を○○円分輸入します。関税と諸費税は、○○円です」と自ら輸入申告をして関税等を納付すると、輸入許可が下ります。このとき、税関に申告するべき価格は、課税価格の決定原則に基づき、輸入するまでにかかるすべての費用(CIF価格)とされています。
つまり、商品その物の価格の他、中国から日本への船賃の他、海上保険代金などを加算し後の価格が申告するべき課税価格です。そして、このシステムチャージは、非常にあいまいな費用であり、日本税関としては「加算費用」との見解を出しています。システムチャージは、存在自体が意味不明な上、日本側の課税価格が上がってしまう厄介な存在なのです。
まとめ
- システムチャージは、1980年代のコンテナ輸送からの名残
- システムチャージは意味不明な請求。本来は支払う必要はない。
- システムチャージは、本来、中国側の荷主が支払う物である
- システムチャージは、日本側の通関で「加算要素」である。
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