現在、就職活動中である、大学生の方 又は、すでに他業界で就職をしつつ、これからフォワーダー業界に就職したいと考えている方へ。
この記事では、フォワーダー業界の就職を目指している方に向けて、将来性、実情、平均年収、将来に向けて考えておくべきことなどをご紹介していきます。
フォワーダー業界
とは、国際輸送を希望する荷主のニーズをくみ取り、最適な輸送ルートを構築する仕事です。この仕事には、海上輸送、航空輸送、鉄道輸送、トラック輸送等の各種輸送車への手配の他、倉庫関連業務、通関業務などの付随する業務もあります。
「どの範囲までの業務をしているのか?」
は、就職するフォワーダーごとに異なり、ホワイト企業度、激務度、労働生産性等も業界内で大きな差があるのが特徴です。この記事では、このフォワーダー業界を詳しくご紹介していきます。
フォワーダーのビジネスモデル
そもそも、フォワーダーとは、どのようなビジネスモデルなのでしょうか? 一見すると、とても難しいことをしているように感じます。しかし、意外にシンプルな「輸送スペースの再販売」です。
例えば、フォワーダーは、コンテナ船を運航する会社から、対象の路線における輸送スペースを買いとります。(例:40フィート200本等)その後、買いとった輸送スペースを国際輸送を希望する荷主に再販売をします。
- キャリアから輸送スペースを購入する。
- 購入したスペースを荷主に再販売する。
この1と2の差から利益を得るモデルです。また、最近では、国際輸送に付随する関連業務(通関や倉庫業務)等を一括で請け負うことで、収益性を高めているフォワーダーも多いです。
ビジネスモデル=輸送スペースの再販売で利益を得る。
フォワーダーの魅力
フォワーダーの魅力は、仕入れと売りの両方で利益を自由に作り出せるところにあります。つまり….
- 仕入れで利益を創る。
- 売りでも利益を創る。
一体、どのようなことなのでしょうか? これは、上記で説明をしたビジネスモデルと大きく関係します。フォワーダーの仕入れは、キャリアのスペースを確保を意味します。そして、このキャリアからの仕入れ金額は、絶対的に決まっておらず、過去の実績や力関係等により、交渉ができます。
例えば、ある船会社Aと交渉しているフォワーダーBがいるとしましょう。本来は、コンテナ1本あたり1000ドルかかる路線だとします。このとき、フォワーダーBは、長年の取引実績に応じて、船会社Aに対して価格の引き下げを要求します。
オファーを受けた船会社Aは、例えば1000ドルのコンテナを500ドルに下げる可能性もありますし、さらに引き下げた金額を提示する可能性すらあります。つまり、仕入れ金額は、船会社Aとフォワーダーとの実績や関係性に大きく影響されて、絶対的な金額が存在しないのです。
これが一つ目の「仕入れで利益を創る」です。
次に仕入れたスペースを販売するときを考えてみましょう。この場合は、フォワーダーと荷主との関係により、自由に販売価格を設定できます。
例えば、荷主Aには、1500ドルを提示。荷主Bには、800ドルで提示などです。やはり、ここでも長年の実績や取引関係などが大きく影響し、絶対的な価格がないことがわかります。
よって、上記2つの仕組みを利用することにより、フォワーダーは、船会社と荷主との関係を維持しつつ、自社の利益部分を比較的自由にコントロールできるのです。ここが一般的な商品を扱う会社にはない決定的な魅力です。
フォワーダーの魅力:仕入れと売りの両方で利益を創れる。
フォワーダー業界の傾向
フォワーダー業界は、仕入れと売りの両方で利益を創ることができる点が大きな魅力です。しかし、これはある意味、諸刃の剣の側面を併せ持ち、手放しで受け入れられません。
では、実際、フォワーダー業界は、どのような傾向にあるのでしょうか?
- どんな事柄に事業が左右されやすいのか?
- 平均年収等
などを確認していきましょう!
フォワーダーが左右されやすい事柄とは?
フォワーダービジネスは、何によって、業績が悪くなるのか? 良くなるのでしょうか? 関係する主な物は、次の通りです。
- 物流需要の増減
- 原油の上昇や下降
- 各国政府の政策
- 為替レートの変動
- 金利の上下
- 競合企業のインフラ投下具合
- 経営者の先見性のなさ
最も大きな影響は、物流需要の増減です。ご存じの通り、フォワーダーは物が動いてなんぼの世界です。荷主と二人三脚のビジネスであるため、荷主の経済活動が小さくなるほど、ビジネスが小さくなる特徴があります。
その他、原油の上昇や下降、為替レートの変動、資金調達をするための金利の上下等によっても、業績に大きな影響をもたらします。また、意外に侮れないのが「無能な経営者層」の存在です。
フォワーダーにも上から下まで様々な企業体が存在し、その中には、外資系企業などもあります。外資系企業と聞くと、どこかエリートのように感じます。しかし、この外資系企業には、中国系、韓国系もあり、アメリカ系もあり、スペイン系もあり様々です。
また、企業といっても社長一人と従業員1名で運営している所もあれば、数百名単位で運営している所もあります。当然、経営層の力量も様々であり「負んぶに抱っこ」のような経営をしている所は、イレギュラー時に対応できず、そのまま倒産する可能性も高いです。
もし、フォワーダー業界に挑戦したい場合は、この辺りを含めてトータル的に考えます。
フォワーダー業界の平均年収
フォワーダー業界に勤務する場合、一体、どれほどの給料がもらえるのでしょうか? 日本全体の所得水準とフォワーダー業界の平均を比較してみましょう!
日本全体の所得傾向と中央値
下のグラフは、厚生労働省が発表した「2019年度の国民生活基盤調査」の結果です。表の右側方向にいくほど所得が高くなり、上方向は年収に収まる人数を示します。ざっくりと見たところ、年収500万円以下の層が55.9%であり、国民の半分です。
また、年収の中央値は「437万円」であり、仮に年収500万円をこえる場合は、その時点で全体数の50%よりも上の層に該当することがわかります。もちろん、2020年は、新型コロナウィルスの蔓延により、2019年よりもさらに金額が下回ると予想しています。
画像出典元:厚生労働省発表 2019年 国民生活基礎調査の概況>>各種世帯の所得等の状況/リンク先
フォワーダー×上場企業の場合の年収は?
一方、フォワーダーかつ上場企業の場合の平均年収はどうなっているのでしょうか? 下の表は「会社四季報オンライン版」で掲載されているデータです。以下6銘柄の情報は、次の通りです。
基本的にフォワダー業界は、全体的に平均年収が高いことがわかります。特に近鉄エクスプレスさは、700万円台に突入しており、業界トップの日本通運さんよりも100万円以上多いです。
ただし、以下のグラフのデータを参考にする場合は、次の2つの注意点があります。
- フォワーダー業界といっても非常に限られた企業のデータであること
- 収入が中央値ではなく「平均値」であること
この2つをしっかりと把握しないと、実情と数字上のイメージとの間に、大きなギャップを感じるはずです。フォワーダーといっても、上から下まで無数に存在することを必ず覚えておきましょう!
会社名 | 銘柄コード | 平均年収 | 創業/上場 | 時価総額 |
日本通運 | 9062 | 586 | 1937/1950 | 6787 |
近鉄エクスプレス | 9375 | 704 | 1970/2000 | 1643 |
日新 | 9066 | 656 | 1938/1950 | 289 |
エーアイテイー | 9381 | 579 | 1988/2007 | 240 |
内外トランスライン | 9384 | 572 | 1980/2008 | 133 |
東海運 | 9380 | 618 | 1917/2006 | 89 |
トレーディア | 9365 | 529 | 1941/1971 | 21 |
フォワーダーになるには? 第二新卒でも可能?
フォワーダ業界に就職するには、どのような方法があるのでしょうか? 第二新卒等でもなることは可能なのでしょうか? 私の個人的な感想でいうと、おおきく分けて次の2つしかないと考えます。
- 新卒×未経験
- 既卒×経験者
基本的に貿易業界は、立場に関わらず「経験値」を重視する傾向が強いです。全くのゼロ状態(未経験の場合)は、新卒の一回しかチャンスはないです。また、第二新卒以降は、貿易業界の経験値が必要だと考えましょう!
もし、既卒かつ貿易業界が未経験の場合は、まずは派遣社員として経験を積み、その後、キャリアアップして正社員として就職するのが王道です。いえ、もう少し厳しいことを言うと、それ以外の方法はないです。(例:コネ入社等の特殊事例は除く)
重宝される資格とスキルや英語力
実際、フォワーダーに就職するときに有利な資格やスキルは次の通りです。
- 大卒
- 英語力(少なくても英語の書類を理解できる)
- 英語力(ビジネス英語堪能→海外事務所の道あり)
- 貿易書類の発行や荷捌き経験
- 貿易事務や通関士
- 国際輸送関係企業のコネ
すべてが必須とは言いませんが、一つでも多いほど、フォワーダーの正社員として勤務できる可能性が高いです。特にある一定の英語力がある方は、フォワーダーが設置する海外事務所等にも勤務できる可能性があり、この意味では非常にやりがいがあると思います。
離職率はどうなっている?
また、離職率については、よくわからないのが正直な所です。フォワーダー業界で働いている知人等の感想を聞く限り、所属する企業によって非常に違いがあるようです。
例えば…
「残業が多すぎて辛い。」
「顧客からの無理強いがひどい」
「土日も平気で電話がかかってくる」
などの感想を聞くことが多いです。この点を含めて考えると、やはりフォワーダー業界も、ある一定の離職率があるとみて間違いはないと考えます。
フォワーダーの実情と問題点。将来性はある?
最後にフォワーダー業界の実情と問題点をご紹介します。これから就職するとなると「将来的には大丈夫か?」などと心配するお気持ちは理解できます。基本的にフォワーダー業界は、この世に物販がある限り絶対存在し続ける業界であるため、ある一定の安心感はあります。
しかし、業界自体の存在意義があったとしても、様々な外的要因により淘汰される可能性があることは、他の業界と同じです。つまり、残る会社なのか? それとも淘汰される会社なのか?は、フォワーダー業界の安定度とは、別物です。
特に、2020年初頭から蔓延した新型コロナをきっかけにした世界事変が今後の業界動向にも大きく影響をもたらすことは間違いないです。「アフターコロナ」と「ビフォーコロナ」の違いです。
具体的に「何が違うのか? 変わるのか?」を答えることは難しいです。おそらく、私も含めて誰にも予想はできないでしょう。しかし、働き方、業務への取り組み方、輸送需要等、変化をもたらす可能性は十分にあります。
例えば「働き方改革」「AI等の進出」「コンテナ船の統廃合」等は、業界内でも非常に大きな影響を与えています。これは、業界に所属しないとわからないことですが、様々なことが次々と業界に入り込み、各所で大きな影響を与えています。
上記の中でも今後、特に大きな変化をもたらすのは「AI」です。すでに業界内では、AIが浸透し始めており、フォワーダーに勤務する人の省力化を促が強まっています。
- 通関の書類チェックから申告書類の作成→AIによる全自動処理
- 各社提示の輸送価格の自動取得と荷主をマッチさせるシステム
- HSコードの採番→ AIによる自動判定
- 荷主から税関への自社通関システムの簡易化
- EPAによる様々な省力化、リードタイム短縮の流れ
国際輸送分野、通関等、様々な分野にAIの仕組みが組み込まれている流れが続いており、人的な力を省力化する方向に進んでいます。よって、今後は、このAI化にうまく対応できるフォワーダーのみが価格や取引スピードの点で秀でるようになると考えます。
いつまでも昔ながらのやり方にこだわっているフォワーダーは、淘汰される可能性が高く、柔軟に対応できるところは発展するでしょう!
つまり、フォワーダにも格差社会の到来です!
2020年のコロナ混乱を経て
2020年は、コロナウィルスの蔓延により、国際物流全体が大混乱しました。コンテナ不足により輸送価格の大幅な上昇、港湾関係の封鎖など、国際物流関連企業全体に大きな影響がありました。きっと、これをご覧になっているあなたも少なからず影響を受けたでしょう。
しかし、このコロナ危機を経て一つ確かなことになった事実があります。それが「どれほどの混乱になっても、AIが発達しても、物を動かす仕事は絶対なくならないこと」です。これは、アメリカのロックダウン時でも操業が許された「エッセンシャルワーカー」の認定からもわかります。
エッセンシャルワーカーとは、人々が日常生活を送るために欠かせない仕事。つまり、操業をとめることで社会に極めて大きな影響を与えるとされる職業の事です。
例えば、あなたの周りにいる警察官、消防官が誰もいなくなったらいかがでしょうか? 治安の悪化、火事など、極度に不安定な世の中ですね! 実はフォワーダーは、このような方々と同じく「エッセンシャルワーカー」として指定され、ロックダウン時でも操業が許されたのです。
この事実だけでも、フォワーダーを主軸に仕事を決めると良いと思います。コロナ時代でも、エッセンシャルワーカーとして活躍できる安定した職業です!
以上、あなたがフォワーダーに就職する前に知っておくべき実情と将来像でした。最後までお読みいただきありがとうざいました!
副業でフォワーダーで活躍もできる!
これからフォワダーに就職する方は、業務を通して、後々、副業を始められる程度の知識をつけておくと良いです。弊社では「副業でもできるフォワダービジネスの参加者」を募集しています。
もし、ある一定の経験を積んだら、ぜひご応募いただきたいと思います。ちなみに、フォワーダーとして活躍する場合、次のような知識や経験を積極的に取得しましょう。以下の経験や業務を身につけられれば、必ず、フォワーダーとして活躍できます。
- 輸入者、輸出者など、荷主によりそう気持ち
- インコタームズ
- 仕向け地における代理店のネットワーク
- 海上保険の勉強
- 各国の税関制度や輸送条件、特異点
- 3PLや4PLなどの物流需要の把握
- 世間の流れや傾向を感じ取る能力
まとめ
- フォワーダーは国際輸送のコーディネーター
- フォワーダービジネスはキャリアと荷主との価格差から利益を得ること
- 魅力は、仕入れと販売の2つで利益を創れること
- 業界の平均年収は高め。但しピンキリの点は注意が必要
- 未経験は新卒の一択。それを逃すと「経験」を求められる。
- 将来性は、個人の能力や所属するフォワーダーによる。
- 基本的には、この世に物販がある限り存在する。
- ただし、AI等の普及により急激に変化しているのは事実。
- この変化にのれないフォワーダーは淘汰される。
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