中国輸送費は“見た目”で判断してはいけない
見積を複数取っても、なぜ金額がバラバラなのか分からない……そんな経験はありませんか?
国際輸送の見積には「見える価格」と「隠れた費用」があります。価格だけを見て選ぶと、後から“高くつく”のが中国輸送の現実です。
特に中国から日本への輸送では、「同じ条件で頼んだはずなのに見積額が何万円も違う」「安いと思って頼んだら後から追加費用を請求された」といったトラブルがよく起きます。
これは、見積もりの金額だけを見ても、本当のコストが見えにくいからです。安く見える見積の裏には、含まれていない費用や条件の違いが隠れていることがあります。
見積は“価格”ではなく“構成”で比較する
国際輸送の見積は、大きく次の5つの費用から構成されます。
- 運賃(海上・航空):貨物の重量・体積と出発地・到着地によって変動
- 中国側費用:混載作業費、書類作成、輸出通関費など
- 日本側費用:輸入通関費、ドレージ代、検査対応など
- 付帯サービス:検品、梱包、再ラベリング、保険等
- 変動費:サーチャージ、季節・為替・燃料変動費など
業者によって、これらが含まれているかどうか、まとめて記載か分割記載かが異なります。これが「金額の錯覚」を生む原因です。
実例:錯覚する見積比較
見積項目 | A社(合計12,000円) | B社(合計15,000円) | 備考 |
運賃 | ○ | ○ | 両社とも同じルート |
通関費 | ×(後請求) | ○(込み) | A社は到着後に別請求 |
書類費 | × | ○ | A社は別途請求 |
現地検査対応費 | ×(想定外) | △(条件付き) | 書類に未記載が多い |

このように、見た目の価格では判断できず、実質は逆転することが多いのです。
港やルートによって価格は変わる
中国の主要港には、それぞれ特性があります。
- 深圳(塩田):LCLに強いが週末混雑、スペース確保困難
- 寧波:FCLが多く、月末に輸出集中
- 青島:出荷処理が早く、混載便も比較的安定
港の選定だけでも、価格・納期・トラブル率に大きな差が生まれます。
見積依頼時に伝えるべき5つの情報テンプレ
見積精度を上げるには、次の項目を具体的に伝えましょう。
- 出発地・到着地(都市名、倉庫名など)
- 荷物のサイズ・重量(m³・kg)
- HSコードまたは商品説明
- インコタームズ(FOBまたはEXW)
- 納品希望日と納品先(倉庫納品 or 玄関先配送)
例文:
「広州市内のサプライヤーから東京都大田区の倉庫まで、100箱・2.5㎥・300kgの雑貨(HSコード9503)をLCLで輸送。FOB条件で見積希望。」
よくある“追加費用”とは?
以下は、見積書に書かれていないことが多く、あとで請求される代表例です。
- 書類再提出費(INVOICEやPACKING LIST不備)
- 現地検査費・検査立ち会い費
- ラベリング・再梱包手数料
- 保管延長費(通関遅れや納品先対応不備)

これらは業者によっては説明なしに“後出し”されることがあるため、事前に確認が必要です。
見積書を選ぶ基準は「安さ」ではない
- 含まれる内容が明確か?
- 追加費用が発生しうるポイントを説明してくれるか?
- 担当者が「逆に聞いてくる力」(納期、通関方法、希望ルート)を持っているか?
これらを基準に、「説明責任を果たしてくれる業者」かを見極めましょう。
まとめ|“一番安く見える会社”ではなく“説明できる会社”を選ぶ
見積は価格の比較ではなく、“中身の理由”を見抜くための資料です。
「見積が安いから頼んだら、あとから請求が倍増した」──そんな失敗を防ぐには、内容の透明性と説明の丁寧さを重視してください。
最適なフォワーダー選びは、ここから始まります。
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