船会社(コンテナ船)が倒産すると貨物はどうなる?

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「世界4位の船会社だから安心だ!」こんな常識は、はるか昔のお話だとお考えください。「韓進海運」の経営破綻の事実からもわかる通り、コンテナ船業界は、非常に厳しい経営状況にあります。まさに、いつ、どこの国のコンテナ船が破綻してもおかしくない。と言っても過言ではありません。

では、私たち荷主は何をすべきなのでしょうか? まずは、今すぐ「大きな船会社だから安心である」との常識を捨てることです。さらに、今回の記事でお伝えする「もし、船会社が倒産したらどうなるのか?」を具体的にイメージして、今すぐ、できる対応策を実行することです。

船会社が倒産したときの貨物の取り扱い

船会社の倒産を前提にすると、次の3つのシーンにおける対処方法が重要だとわかります。三つの内、最も厄介なケースは、3番の航海途中での破産です。また、輸出者と輸入者のどちらが中心となって対処するのかは「インコタームズ」により決まります。

*インコタームズは、輸出者と輸入者の危険負担と費用負担の範囲を明確にした「貿易の型」です。

  1. 本船は輸出港に停泊中。すでに船積みを終えている。
  2. 本船は出港、輸入地に到着。さらに荷揚げ済み
  3. 航海の途上で倒産

1.輸出地で倒産

まずは、輸出地に停泊している状況で破産したケースです。この場合は、輸出者は、船会社から貨物を取り返し、他の船に詰め替えることで対処します。船会社の破産時、インコタームズ上の「危険負担」の範囲にいるときは、あなたがフォワーダーや船会社と連絡を取り合い対処します。

2.本船は出港、輸入地に到着。さらに荷揚げ済み

コンテナ船は、輸入地に到着済み。さらに、輸入港のコンテナターミナルに荷揚げされているときは、運賃の支払い状況により異なります。もし、海上運賃を「コレクト(輸入地払い)」にしているときは、海上運賃とその他の関連費用を支払うことで貨物を引き取れます。関連記事:フレイトプリペイドとコレクトの意味とは?

一方、運賃が「プリペイド」の場合は、船会社に輸送費を支払っているため、すぐに貨物を引き取れるかと思いがちです。しかし、すでに船会社が破産しているため、支払いの確認ができず、結果として再度、運賃を支払わされる可能性が高いです。この場合は、税関とも相談をして、輸入申告価格の評価アップの対象にされないようにします。

3.航海の途上で倒産

三つめは、本船が航海上で破産することです。実は、この航海上の破産は、数年前に実際にありました。韓国大手「韓進海運の破産」です。このとき、世界中にある韓進船は、航海上に留め置かれました。いわゆる入港拒否です。日本でも東京や名古屋港などで同様の措置がとられました。

この場合、B/Lの約款に基づき運送契約は、強制的に解除されます。つまり、留め置かれている本船に積み込まれている貨物は、すべて各荷主の責任と費用負担により、陸揚げする必要があります。しかも、陸揚げに伴う費用は、貨物海上保険の免責事項に指定されている点も注意です。

  • 航海上で船会社が倒産すると、運送契約が解除される。
  • 運送契約解除による回復費用はすべて荷主の負担
  • 倒産による経費負担は、海上保険の適用対象外

船会社の倒産に対処するには?

以上のことをふまえて、各荷主は、どのような点を気を付けるべきなのでしょうか? 主に次の三つがあります。

  1. 大手船会社は安全であるとの思い込みを捨てる。
  2. 船会社の財務情報をチェック
  3. 財務状態が健全なフォワーダーを間に入れる。

1.大手船会社は安全であるとの思い込みを捨てる。

過去、大手の船会社が安定していたのは、世界的な価格協定や独占体制によるものです。会社自体が優れていたのではなく、他社が入り込めない環境があったため、安定的な経営ができていたのです。

しかし、2019年現在は、この壁もほとんどなくなってしまい、ほぼ自由競争です。コンテナ船は、どんどんと大型化していき、荷主の獲得競争は激しさを増すばかりです。さらに、リーマンショックや中国経済の落ち込みによる影響などもあり、船会社の経営環境は悪化の一途です。この事実を踏まえると「大手船会社は安全である」との思い込みはリスクだとわかります。

2.船会社の財務情報をチェック

大手船会社は、いわゆる「IR情報」を公開しています。ここで公開されているバランスシートなどから、経営状態の確認も重要です。特に自己資本比率やコンテナ部門における採算状況なが重要です。もし、自社に財務分析ができる人がいなければ、クラウドワークスなどを使い、外部の専門家に依頼するのも有効です。

参考書籍:Zスコア 最適物流の科学/著者:菅哲賢氏

3.財務状態が健全なフォワーダーを間に入れる。

どちらかというと、1と2は、消極的な対策です。3番のフォワーダーの活用こそが最も有効な方法です。フォワーダーは、船会社からスペースを買い取り、荷主へ再販売します。これにより、各荷主は、フォワーダーを通して、船会社のスペースを確保します。

一見すると、フォワーダーを挟むだけ料金が高くなるかと思いますが、これは必ずしも合っているとは言えません。個人で旅行を手配するより、ツアーを申し込んだ方が安いように、船の予約も、フォワーダーを通した方がメリットを受けられることが多いです。

しかし、この話を聞いたとしても……

「船の料金は、フォワーダーを通してもそこまでかわらないことは分かった」

「では、なぜ、フォワーダーを通す必要があるんだ?」

と、考える方も多いかと思います。それに対する明確な答えは、フォワーダーとの「運送契約」にあります。荷主は、フォワーダーと運送契約をすると、フォワーダーの責任と費用において「揚げ地まで輸送」してもらう権利が生まれます。よろしいでしょうか? フォワーダーが揚げ地までの輸送義務を負うのです。

つまり、この運送義務があることにより、万が一、航海上で船会社が倒産したとしても、フォワーダーが自らの責任と費用をもって、揚げ地港までの輸送をしてくれるのです。今回の韓国船の破綻時も、このフォワーダーとの契約が明暗を分けました。

直接、船会社と契約していた荷主は….

  • 自分で船を探さないといけない。
  • でも、全く船のスペースがない。
  • しかもすべての費用を自ら負担し、補償を受けられない。

との最悪な状況に置かれていた一方、フォワーダーと契約をしていた荷主は…..

  • 納品先への納期遅れの連絡

のみをするだけで、その他のすべての手続きをフォワーダーが行ってくれました。つまり、当初の予定よりも大幅に納期が遅れた物、当初の運送費以上の費用(リカバリー費用等)は一切、支払う必要なく、予定通り、貨物を引き取れたのです。

いかがでしょうか? これがフォワーダーと運送契約をするときの最大のメリットです。もちろん、フォワーダー自体の財務体質が強固であることや、確かな実績を持ち合わせていることが大前提です。

船の手配 独立系NVOCC(フォワーダー)を選ぶべき理由

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