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第6回:サプライチェーン強靭化補助金の実務対応|BCP設計と制度活用の両立戦略

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サプライチェーン強靭化補助金の実務対応|BCP設計と制度活用の両立戦略

補助金制度が果たす役割とBCPとの関係

経済産業省が推進する「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金」は、グローバルサプライチェーンの断絶や海外拠点集中リスクを軽減するために創設された制度です。目的は、国内生産基盤の強化とリスク分散を同時に進めることにあります。

特に、事業継続計画(BCP: Business Continuity Plan)を中核に据えた国内回帰・多拠点化支援が制度の本質です。単なる設備補助ではなく、企業の中長期的なリスクマネジメント施策として機能し、国策と企業戦略が交差する重要な制度といえます。

本シリーズで扱ってきた「リロケーション×関税×BCP設計」との連携により、企業は「関税最適化+生産継続性+制度活用」の三位一体型設計を構築できます。特に、近年増加している“日本+1”戦略の中では、国内製造拠点をBCP拠点として整備し、再輸出免税・EPA適用と組み合わせることで、持続的な競争優位を確保できます。

制度単体を理解するだけでは実務での効果は限定的です。本シリーズ全体で取り上げている「リロケーション×関税×BCP」との関係性を意識することで、より戦略的に活用できます。

では実際に、この補助金を活用する際にはどのような投資や経費が対象となるのでしょうか。
具体的な経費区分を確認していきます。

対象となる投資と経費区分の詳細

公式公募要領によると、補助対象は建物取得費・設備費(必須)・システム購入費です。設備の取得を伴わない案件は原則対象外とされています。人件費・広告宣伝費などは原則補助対象外です(※各回の公募要領に従う)。

経費区分対象となる例対象外となる例備考
設備費加工・検査装置、IoT機器、専用サーバー事務備品、車両購入省エネ・GX機能付き設備は加点対象
システム構築費ERP/WMS/NACCS連携、クラウド移行費、AI分析基盤汎用ソフトウェアのみデジタル連携強化を重視
建物費BCP倉庫・バックアップ拠点の改修、防災強化工事本社新築・装飾改修災害対策・防火基準への適合が条件
委託・外注費データ連携設計、BCPコンサル、監査準備支援通常業務委託、広告費業務設計型委託は評価対象

自社投資を「BCP目的」「国内回帰効果」「デジタル化寄与度」で整理することが、採択率を高める第一歩です。

補助金の申請・評価プロセス

審査は外部有識者による第三者委員会が実施し、評価観点・配点は各回の公募要領に従います。実務上は、以下の4要素が重視される傾向があります。

  1. BCP貢献度(供給継続・災害対応力)
  2. 国内供給力向上
  3. デジタル連携水準
  4. ESG・GXへの寄与

申請から報告までの流れ

  1. 事前相談:採択事務局へのヒアリング(制度適合性・他補助金併用可否を確認)
  2. 企画設計:自社のサプライチェーン脆弱性を分析し、補助事業の必要性を定義
  3. 申請書作成:投資目的・BCP効果・雇用維持を定量的に記載
  4. 書面審査:第三者委員会による採点(上記4観点)
  5. 現地確認・面談:必要に応じてヒアリング対応。BCP訓練や代替拠点計画を説明
  6. 交付決定後の実施・報告:設備導入・稼働実績報告、会計監査、雇用維持証明を提出
  7. フォローアップ:交付後数年間(※制度により異なる)に事業化状況報告を提出

フォローアップ年数は制度・公募回により異なります。例えば「事業再構築補助金」は完了後5年間の報告義務があり、本補助金も交付規程・事務局通知に基づき管理されます。

他補助金・制度との併用と競合管理

サプライチェーン強靭化補助金は、他制度と組み合わせることで効果を最大化できます。ただし、経費の重複計上は原則不可。併用判断は必ず事前相談を行いましょう。

制度関係性併用可否(原則)留意点実務コメント
事業再構築補助金対象経費が重複×(重複不可)別テーマであれば可事業区分を明確化
中小企業省エネ補助金投資目的が異なる場合設備性能・エネ削減を明示GX補助金と同時評価されやすい
GX補助金脱炭素・省エネ領域で重複要事前相談BCP投資と組み合わせると好印象
地方自治体制度国補助と補完関係採択スケジュールを調整地域特化型事業で活用可

「資金の重層化設計」により、競合を避けつつ政策資金を最大限活かせます。

KPI・効果測定指標

補助金は導入時だけでなく、成果の定量評価が再申請や監査時の信頼性を左右します。KPIをBCP視点で設定することが重要です。

指標カテゴリKPI例測定方法評価頻度
供給継続性緊急時代替稼働率95%以上稼働実績・訓練ログ半期
データ統合度原産地証明電子化率100%、WMS稼働率90%以上ERP/クラウド出力年次
コスト効率通関・輸送コスト25%削減会計比較・ベンチマーク四半期
リードタイム被災時遅延24〜48時間以内BCP訓練報告書半期
雇用・地域波及雇用維持3名以上/年、地域調達率20%以上実績報告書年次

これらのKPIは、補助金の投資効果説明責任を果たすと同時に、企業のBCP監査資料としても有用です。

補助金後の持続運用とモニタリング体制

補助金の目的は「採択」ではなく「自律運営」です。終了後も事業継続性を維持するため、次の管理体制を推奨します。

  • モニタリング会議:四半期ごとにKPI達成率を確認
  • BCP訓練の定常化:代替拠点稼働訓練を年2回実施
  • 保守・更新費の内部化:補助設備の維持費を社内経費で計上
  • フォローアップ報告:経産省の指示に基づき再評価報告を提出
  • ESG・GX報告:環境・地域貢献を可視化し、投資価値を維持

こうしたサイクル管理により、補助金を単年度支援で終わらせず、「企業文化に根付くリスク対応装置」として機能させることが可能です。

実務提言:制度を「経営デザインツール」として再定義

補助金は資金援助ではなく、企業構造改革を設計するための経営デザインツールです。関税優遇措置・EPA証明制度・国内税制(減税・償却制度)と組み合わせることで、資金・制度・生産体制を統合的に設計できます。

  • 自社の脆弱点をマッピングし、優先投資領域を明確化
  • 補助金対象経費とBCP投資を照合
  • 補助金+税制+EPA制度の「三層設計」を策定
  • 採択前から通関士・補助金コンサル・金融機関と連携
  • 補助期間後も効果検証・再投資をループ化

このプロセスを継続することで、「BCP・関税・補助金」を核とした持続的企業運営モデルが実現します。

情報元一覧

 

シリーズ:BCP×関税×リロケーション

国際分業を「関税設計」と「BCP(事業継続性)」で最適化する実務ガイド。全体像 → 制度 → 体制 → 事例 → 対米実務の順で読めます。

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