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【HUNADE】輸出入と国際輸送ガイド 学習コース

第9回:中国との国際輸送で起きやすいトラブル事例と対策 現場から学ぶ実務ノウハウ

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国際輸送トラブル事例と対策ガイド:中国・日本間貿易の実務ノウハウ

国際輸送におけるトラブル発生の構造的要因

国際輸送は船舶会社、港湾、通関、輸送業者など複数の関係者が関わるため、トラブルが発生しやすい分野です。特に中国と日本間の貿易では、港湾混雑、規制強化、輸送遅延といった問題が頻繁に発生し、中小企業に大きな影響を与えることがあります。

中国との国際輸送で起きやすいトラブル事例

本ガイドでは「中国から日本」「日本から中国」の両方向で発生しやすい国際輸送トラブルと、実務担当者が現場で活用できる対策を具体的に解説します。経験則に基づく実践的なノウハウも交えながら、実務に直結する形でまとめています。

中国から日本への輸送時に発生するトラブル

港湾混雑・船便遅延

上海や寧波といった主要港では、繁忙期や悪天候時に港湾混雑が発生しやすく、荷揚げが数日から数週間遅れる事例が繰り返し報告されています。特にCOVID-19の影響下では、数千本単位のコンテナが滞留したケースもありました。コンテナが港で滞留すれば保管料も追加で発生します。

対策:出荷計画段階で複数港を選択肢に入れ、荷動きを分散することが重要です。また、繁忙期を避けたスケジュール設計や予備日を設けることが有効です。

スペース不足・ブッキングキャンセル

春節や国慶節などの繁忙期には、予約済みのコンテナが直前でキャンセルされる「ブッキングロール」が多発します。現地フォワーダーが調整できず、輸送が1~2週間遅れることもあります。GRI(General Rate Increase)による急な料金上乗せも頻繁に発生します。

対策:早期予約と複数フォワーダーの併用が基本です。特に繁忙期は同一貨物を複数ルートで確保しておく「二重確保」が安全策となります。

書類不備による積み残し

B/Lやインボイスに記載不備があると、積み込みが許可されず出港が遅れることがあります。特にバッテリーや化学品など危険物扱いの場合、MSDSが不足して積み残しとなる事例もあります。

対策:輸出通関手続きと併せて出荷書類を二重チェックすることが重要です。輸入者と事前にすり合わせて書類を完成させておくことが必須です。

危険品・特殊貨物の積載拒否

リチウムイオン電池や化学品などはIMDGコードの規制により積載拒否となることがあります。2021年には複数の船舶会社が特定電池貨物の受け入れを停止した例もあります。

対策:出荷前に船舶会社へ積載可否を確認し、MSDSや関連証明を添付することが必要です。代替輸送(航空・専用船)を検討することもリスク回避の一つの方法です。

CIQ検査の予測困難性

中国のCIQ検査では対象品目が必ずしも明文化されておらず、ランダム抽出により予期せぬ検査・滞留が発生することもあります。これにより保管料が追加発生し、納期に直結するリスクがあります。

対策:検査対象となる可能性を常に念頭に置き、輸入者と事前に調整し、リードタイムを長めに設計することが求められます。

CYフリータイム超過・DET/DEM発生

中国主要港ではフリータイムが短めに設定されており、荷主が内陸輸送を遅らせるとDET(デマレージ)・DEM(ディテンション)費用が数十万円規模で発生することがあります。中小企業にとって大きな予期せぬ負担となります。

対策:輸入側との協力により迅速な搬出体制を構築し、現地業者に搬出スケジュールを事前共有することが重要です。

HSコード誤分類

中国税関はHSコードの解釈を厳格に行うため、誤分類により追加関税や罰金が課される事例があります。日本からの中古機械や食品添加物で特に頻発しています。

対策:出荷前に日中双方でコードを照合し、事前教示制度を活用します。

電子データ送信の遅延

中国ではマニフェスト電子伝送や輸入申告書の送信遅延により積み残しが発生する事例があります。今後も規制強化に伴い、この種のトラブルは増加傾向が予想されます。

対策:フォワーダーや船舶会社と「送信完了確認」の手順を明確にします。出荷前チェックリストに組み込み、担当者が責任を持って確認できる体制を整えることで安心感が得られます。

日本から中国への輸送時に発生するトラブル

輸出許可・検査待ちでの滞留

中国到着後、CIQ検査や輸入許可が必要な品目で手続きが遅れ、貨物が倉庫で滞留する事例があります。保管料が数十万円単位で発生し、納期に大きく影響することもあります。

対策:輸入者と必要書類や許可を事前に確認し、検査対象の場合はリードタイムを長めに設定します。

通関後の配送遅延

中国内陸部向け貨物では、通関後にトラック不足や道路規制が原因で配送が遅れることがあります。特に大型貨物では道路許可申請が必要になり、手続きが終わらず停滞することもあります。

対策:現地代理店や物流パートナーを活用して代替輸送ルートを確保することが重要です。鉄道や内航船を組み合わせることも有効です。

LCL混載貨物のトラブル

混載コンテナで他社貨物が規制違反を起こすと、自社貨物も通関不可となるリスクがあります。実際に、食品添加物を含む他社貨物が引っかかり、同じコンテナ内の貨物が全て止められた例もあります。

対策:混載を利用する場合は現地フォワーダーの選定を厳格に行い、必要に応じてFCLを選びます。

原産地証明不備(FTA/EPA関連)

日中間ではRCEPを含む特恵関税が活用されていますが、証明書の誤記や電子証明書の不認可で無効扱いとなり、関税負担が数十万円単位で増える事例もあります。

対策:フォーマットに沿った正確な作成、輸入国税関の電子認証の対応状況を確認します。

輸入規制の突然の変更

食品、医薬品、化学品などで中国政府が規制を急遽改定することがあり、輸送中に規制が変わり到着後に通関不可となることがあります。

対策:輸出直前に税関やCIQの通知を確認し、リスクがある場合は輸入者に最新情報を求めます。

貨物破損・積付不良

長距離輸送中に貨物が破損する原因の多くは、積付不良や梱包不足です。木枠梱包が不十分だった機械部品が輸送中に損傷し、修理費用と再輸送費で数百万円の損害につながった事例もあります。

対策:輸出梱包を国際基準(ISPM)に準拠させることが必要です。荷主自身が梱包仕様を確認する仕組みを持つようにします。

保険未加入による損害補填不可

輸送中の破損・紛失が発生しても、保険未加入だと一切補償されません。特に中小企業ではコスト削減のため保険を外すケースがありますが、損害額が数百万円に及ぶ事例もあります。

対策:最低限でも貨物保険に加入することが必要です。特に高額品や精密機器ではオールリスク型を選ぶことが望ましい対応です。

重量物・大型貨物の規制

日本側でも橋梁耐荷重や道路高さ制限により輸送が難航する事例があります。特殊車両通行許可の手続きが遅れれば、中国向け出荷のスケジュールに影響します。

対策:出荷前に国内道路規制を確認し、必要な通行許可を確実に取得することが必要です。フォワーダー任せにせず、荷主が主体的に把握しておくことが安全です。

両方向で共通して発生するトラブル

インコタームズの誤解

FOBやCIF条件を誤解し、「誰が保険や輸送費を負担するか」で紛争になる事例があります。契約書に条件が明記されていないとトラブルの原因です。

対策:契約段階でインコタームズを正確に理解し、条項を明記します。

為替・燃油サーチャージの変動

契約時と輸送時で燃油サーチャージや為替が変動し、見積もりと実際のコストが大きく乖離することがあります。EBS(緊急燃料サーチャージ)やCIC(中国輸入サービスチャージ)が突発的に導入されるケースもあります。

対策:契約に「燃油調整条項」を盛り込む、為替予約を利用するなど、コスト変動リスクを管理します。

現地フォワーダー請求の不透明性

中国現地のフォワーダーが提示する「LOCAL CHARGE」が、日本側の想定を大幅に上回ることがあります。事前確認不足が原因です。

対策:見積時に費目の明細を確認し、契約に「上限額」を盛り込むことが重要です。

知的財産権関連の差し止め

中国企業が商標権を先に登録している場合、通関で輸入差し止めとなるケースがあります。過去には日本企業がブランドロゴ入り商品を差し止められた事例も存在します。

対策:中国における商標登録を早期に行い、輸出前に弁護士を通じてリスク調査をします。

禁輸・規制貨物の誤輸送

廃プラスチックや廃基板など、中国で禁輸されている貨物を誤って輸出し、出港不可となる事例があります。

対策:輸出前に最新の禁輸リストを確認し、現地通関業者に事前相談します。

不可抗力リスク

台風、地震、感染症などの影響で港が閉鎖され、輸送が遅れる事例は少なくありません。COVID-19発生時には実際に中国主要港で数週間の遅延が発生しました。

対策:契約書に不可抗力条項を盛り込み、代替輸送や納期調整の手順を明記しておきます。

実務担当者への提案とまとめ

中国と日本間の輸送では「港湾混雑」「スペース不足」「検査待ち」に加え、「CYフリータイム超過」「HSコード誤分類」「現地フォワーダー請求」などが頻繁に発生しています。特に中小企業にとっては、一件あたり数十万円規模の追加コストが突然発生することがあります。

実務者が標準化すべき対策

出荷前チェックリストの導入、複数フォワーダー契約によるリスク分散、FTA・EPA利用時の証明書二重確認、契約条項への燃油・不可抗力条項・上限額の明記、最低限の貨物保険加入といった対策が推奨されています。

最後に、輸出入業務の各工程で「事前確認シート」を導入し、現場担当者が確認項目をチェックできる仕組みを構築することをお勧めします。これにより、ヒューマンエラーを減らし、多くのトラブルを未然に防げるでしょう。

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