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国際輸送の選択肢の一つとして「フェリー輸送」があります。一見するとコンテナ輸送と同じかな?と感じます。しかし、実はフェリー輸送とコンテナ輸送は似て非なる物であり、貿易者は、この違い(メリット)を覚えておくことが重要です。
そこで、この記事では、フェリー輸送のメリットを「カット日」の側面からご紹介していきます。なお、フェリーやカット日は、別記事にも詳しく解説していきます。
フェリーを使うメリットとは?
フェリーとは、定期航路を決まった時間、決まった頻度で輸送するサービスです。2021年現在、日本には、日本国内を結ぶフェリー(内航フェリー)や日本と海外を結ぶフェリー(外航フェリー)の2つがあります。
例えば、内航船の場合は、日本の敦賀と苫小牧を結ぶ「新日本海フェリー」、名古屋と仙台、苫小牧を結ぶ「太平洋フェリー」などがあります。
一方、外航船の場合は、大阪、神戸と上海を結ぶ「XIN JIAN ZHEN」、下関と韓国の釜山を結ぶ「関釜フェリー」などがあります。どの航路も定時間、定曜日、定期頻度で結ぶのが特徴です。
関連:日本海側(下関/敦賀/金沢/富山/舞鶴/石狩)の国際ターミナルと助成金
日本各地のフェリー航路例
日本の港 | 海外の港 | 主な運航会社 |
稚内 | Korsakov | HS line |
神戸 | Shanghai | XIN JIAN ZHE / SU ZHOU HAO Japan China International Ferry |
大阪 | Shanghai | XIN JIAN ZHE / SU ZHOU HAO Japan China International Ferry |
Busan | Panstra Cruise | |
下関 | Busan | Pukwan Ferry |
Busan | Kampu Ferry | |
上海 | Suzhoui Shimonoseki Ferry | |
福岡 | Busan | JR Kyushu Jet Ferry |
Busan | Camellia Line |
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フェリー輸送を使うメリット
基本的にフェリー輸送は、コンテナ輸送と比べて次の点でメリットがあります。
- 搬入が早い。
- 船速が早い。
- スケジュールを読みやすい。
- 航空輸送よりも割安
コンテナ輸送と比較すると、運賃自体は、高いもの、貨物を素早く輸送できる点や、航空輸送よりも割安な料金体系が決定的な違いです。
例えば、山形県に工場がある製品を上海に輸出しようとしています。この場合、最寄りの山形の空港から上海の空港に航空輸送を考えることが多いです。しかし、下関港の資料では、上記の場合でも、陸送で下関まで輸送し、フェリーで輸送した方が安いとのデータも紹介されています。
フェリー輸送は….
- コンテナよりも貨物を早く輸送できる。
- 航空輸送よりも安く輸送できる
- ぎりぎりまで生産ができる。
この三つが大きな特徴です。この内、ここでは、3番のギリギリまで生産できる点についてもう少し詳しく説明をしていきます。
ギリギリまで生産ができるとは?
フェリー輸送のメリットの一つに「ギリギリまで生産ができる点」があります。ここでいう「ギリギリ」とは、貨物を本船に積み込むための準備に要する時間です。そして、準備と深く関わるのが「カット日」です。
カット日とは?
カット日とは、輸出予定の船に貨物を積む混むための「期限」を指します。各荷主は、このカット日に間に合うように、輸出商品の準備や書類の準備を終えておく必要があります。実は、このカット日は、コンテナ船とフェリー船で大きく違います。
コンテナ船(LCL)とフェリー船のカット日の比較
まずは、下の画像をご覧ください。上段は、コンテナ輸送(LCL=混載)、下段は、フェリーでの輸送スケジュールを示します。赤丸は、カット日、青丸は納品日です。
ここで注目していただきたいのは、コンテナ輸送とフェリー輸送の間にある「三日の差」です。
例えば、上海発のコンテナ船は、カット日(カット時間)が「火曜日の午後」に設定されています。荷主は、このカット日に間に合うように、工場出荷、輸出通関等を手配します。
一方、フェリー輸送のカット日は「金曜日午後」です。コンテナ輸送は、火曜日午後、フェリー輸送は金曜日午後のことから約3日間の差がありますね!製造メーカーにとって、できるだけ多く製造し、一度の輸送量を最大化するのは大切です。その意味において、フェリー輸送のカット日と納品日が短いのは、大きなメリットです。

フェリー輸送は、カット日が後ろ倒しになっている。(カット日と納品日が近い)ギリギリまで製造ができることが大きなメリットです。
上海のコンテナ船とフェリー船の運航状況
日本と中国との間のコンテナ船は、約1,000本(20’コンテナ換算1,000TEU)のコンテナを積載しながら運航しています。コンテナターミナルには、積載待ちのコンテナ(輸出許可済)や空のコンテナが保管されており、船が到着次第、荷揚げや荷卸しが行われます。この作業がおよそ1~2日ほどかかります。
日本に向けて貨物を輸送する人は、このコンテナ船の入港するまでの間(カット日)までに「いつでも貨物を積み込めれる状態=輸出許可」を受けておきます。
一方、フェリー船の場合は、旅客船であるがゆえ、上海市の中心部にある河川ターミナルに接岸します。フェリーの場合、コンテナを保管する広いターミナルを確保できないため、本船が出港する数時間前にコンテナを搬入し、積み込み作業をします。
2021年現在、上海港と大阪・神戸港間は、XIN JIAN ZHEN(=新鑑真)とSU ZHOU HAO(蘇州號)、その他、下関、門司港等にもフェリー船が運行されています。特に、上海、大阪間のコンテナ船は、約30年以上の歴史があり、その間、業界内で様々な研究がなされて今に至ります。
その中でも特に「リードタイムの短縮」は、解決するべき重要な課題として取り組まれてきました。私たちは、どうしても….
- 海上輸送は遅い。
- コンテナ輸送と変わらない。
と考えがちです。しかし、上記2つの認識は完全に誤りであり、むしろ、フェリーのリードタイムは「航空輸送に近い」と考えた方が良いです。
もし、あなたが現在、輸送速度の関係から、クーリエや航空輸送を選択しているのであれば、その選択肢の中にフェリー船を入れてみてはいかがでしょうか? きっと、これまでとは比べ物にならない快適な輸送ができるはずです!

