食品版 輸入実現可能性インデックス(IFI)
食品版IFI(Import Feasibility Index)とは、輸入実現度を数値化したHUNADEのオリジナル指標です。この数値で食品系品目の取り扱い可能性を判断し、ビジネスの実現性を正しく評価できます。輸入初心者の商材選びの参考指標として活用してください。

一言でまとめると、無謀な輸入を防止するための指数です!
食品版IFIについて
輸入食品でどの品目が「高リスクか・参入しやすいか」を判断するため、以下の一次情報を基に作成しています。
- 厚生労働省「輸入食品監視指導計画」
- 違反事例データベース
- EU RASFF(欧州食品安全警報システム)
- FDA Import Alerts(米国FDA輸入警告)
評価基準
点数が高いほど規制・リスクが大きく、初心者には取り組みが困難な品目を示します。
つまり、IFIは輸入ビジネスの難易度を客観的に数値化した指標です。計算式は非公開
評価方法と言葉の定義
- 規制:輸入時の法規制の強さ。検査命令や重点監視対象であれば高スコア。
- 物流:輸送・保管の難易度。冷凍・冷蔵が必須、衛生管理が厳しい場合は高スコア。
- コスト:輸入に必要な検査費用や証明書取得コスト。負担が大きいほど高スコア。
- 市場:市場規模や参入のしやすさ。需要が大きく安定している場合は低スコア、ニッチで参入困難なら高スコア。
- 違反:過去の違反事例や検出率。違反が頻発する品目は高スコア。
- 規制リスク(40%):食品衛生法や検疫制度による規制の厳しさを評価。例えば「輸入検査命令が継続中」「重点監視対象に指定」などは5点、規制が緩やかで一般的な届出のみで済む場合は1点。
- 物流リスク(20%):輸送・保管に冷凍・冷蔵などの特殊条件が必要か、鮮度や衛生管理にコストがかかるかを評価。常温保存可能なら1点、冷凍管理必須かつ高コストなら5点。
- コスト負担(20%):検査費用や認証コスト、原産国証明の取得難易度などを加味。自主検査が不要なら1点、定期的に高額な分析が必要な場合は5点。
- 市場実現性(10%):市場規模や参入障壁を逆スコアで反映。需要が大きく参入しやすい場合は1点、需要が限定的で参入が難しい場合は5点。
- 違反率(10%):厚労省違反DBやRASFF、FDA Import Alerts に基づく。違反報告がほとんどない場合は1点、毎年多数の違反事例が報告されている場合は5点。
この食品版IFIは各カテゴリの代表品目に適用し、比較・判断の基準として使用できます。非食品版IFIと合わせて活用することで、輸入リスク全体を体系的に把握可能です。つまり、点数が低いほど輸入しやすく、高いほど困難で専門知識が必要になります。
メニュー
ナッツ・種実類
品目 | 規制 | 物流 | コスト | 市場 | 違反 | 総合IFI |
落花生 | 5 | 2 | 3 | 4 | 5 | 74 |
アーモンド | 4 | 2 | 3 | 4 | 4 | 64 |
ピスタチオ | 5 | 2 | 3 | 3 | 5 | 76 |
カシューナッツ | 4 | 2 | 3 | 4 | 4 | 64 |
マカダミア | 3 | 2 | 3 | 4 | 2 | 52 |
ブラジルナッツ | 5 | 2 | 3 | 3 | 5 | 76 |
ごま | 4 | 2 | 3 | 4 | 4 | 64 |
ひまわりの種 | 4 | 2 | 3 | 3 | 4 | 66 |
クルミ | 3 | 2 | 3 | 4 | 3 | 54 |
松の実 | 3 | 2 | 3 | 3 | 3 | 56 |
コメント
最高リスク
- 落花生:日本・EUともにアフラトキシン違反が常連。検査命中率が高く、自主検査+サプライヤー選別が前提
- ピスタチオ:EU通知構成比が高い代表品目。産地・ロット差が大きく、高水準の選別・保管が必要
- ブラジルナッツ:恒常的高リスク。入荷前サンプリング計画が不可欠
中リスク
- PMCアーモンド・カシューナッツ・ごま:散発〜継続的なアフラトキシン違反あり。乾燥・選別・倉庫環境でリスクが変動
- ひまわりの種:EUでアフラトキシン/オクラトキシン通知が散発。長期保管・高温多湿が弱点
低〜中リスク
マカダミア・クルミ・松の実:基本的に中〜低リスクだが、保管劣化・酸化・ロット例外に注意。Codex推奨の選別・除去が有効
重要ポイント
- アフラトキシン:カビ毒の一種で発がん性あり
- 産地選定、適切な保管・選別、自主検査が重要
- ナッツ類は全般的にカビ毒リスクが高い
ドライフルーツ・果実加工品
品目 | 規制 | 物流 | コスト | 市場 | 違反 | 総合IFI |
乾燥いちじく | 5 | 2 | 3 | 3 | 5 | 78 |
レーズン | 4 | 2 | 3 | 4 | 4 | 66 |
デーツ | 4 | 2 | 3 | 3 | 4 | 68 |
ドライアプリコット | 4 | 2 | 3 | 3 | 4 | 68 |
ドライバナナ | 3 | 2 | 3 | 4 | 3 | 54 |
ドライマンゴー | 3 | 2 | 3 | 4 | 3 | 54 |
乾燥果皮(シナモン等) | 4 | 2 | 3 | 3 | 4 | 66 |
冷凍ブルーベリー | 4 | 3 | 4 | 4 | 4 | 70 |
冷凍ラズベリー | 4 | 3 | 4 | 3 | 4 | 72 |
ドライプルーン | 3 | 2 | 3 | 4 | 3 | 54 |
コメント
最高リスク(初心者非推奨)
乾燥いちじく:アフラトキシン違反の常連。厚労省データベースやRASFF(EU食品安全警報)で繰り返し報告
中リスク(注意が必要)
- レーズン・デーツ・アプリコット:カビ毒や残留農薬リスク。RASFF通知で散発的に報告
- 冷凍ブルーベリー・ラズベリー:EUでノロウイルス・A型肝炎違反多数。冷凍流通管理が必須
低リスク(準初心者でも扱いやすい)
ドライバナナ・マンゴー・プルーン:違反事例は比較的少なく、市場性も高い
重要ポイント
- アフラトキシン:発がん性のあるカビ毒
- RASFF:EU食品安全警報システム
- 乾燥果実はカビ毒、冷凍果実は微生物汚染がリスク
- 適切な流通・保管管理が重要

ドライフルーツは水分活性が低くカビが生えやすいため、特に注意が必要です。
スパイス・ハーブ類
品目 | 規制 | 物流 | コスト | 市場 | 違反 | 総合IFI |
ナツメグ | 5 | 2 | 3 | 3 | 5 | 78 |
レッドペッパー | 4 | 2 | 3 | 3 | 4 | 66 |
黒胡椒 | 4 | 2 | 3 | 4 | 4 | 64 |
クミン | 4 | 2 | 3 | 3 | 4 | 66 |
クローブ | 4 | 2 | 3 | 3 | 4 | 66 |
シナモン | 4 | 2 | 3 | 3 | 4 | 66 |
乾燥バジル | 3 | 2 | 3 | 3 | 3 | 56 |
乾燥オレガノ | 3 | 2 | 3 | 3 | 3 | 56 |
ハーブティー | 3 | 2 | 3 | 3 | 3 | 56 |
ハーブスパイスミックス | 4 | 2 | 3 | 3 | 4 | 66 |
コメント
最高リスク(初心者には困難)
- ナツメグ:アフラトキシン・オクラトキシン違反が多く、RASFF通知頻発。赤信号で初心者非推奨
- 黒胡椒:EU・FDAでサルモネラ違反の常連。輸入時は微生物検査が必須
中リスク(注意が必要)
- レッドペッパー・クローブ・クミン・シナモン:残留農薬・カビ毒が散発的に検出。EU・日本双方で要注意
- スパイスミックス:原材料の国ごとにリスクが累積。原産地確認とサプライヤー管理が重要
低〜中リスク(比較的扱いやすい)
乾燥バジル・オレガノ・ハーブティー:農薬残留リスクはあるが、全体的には中〜低リスク
重要ポイント
- アフラトキシン・オクラトキシン:発がん性のあるカビ毒
- サルモネラ:食中毒を起こす細菌
- RASFF:EU食品安全警報システム

スパイスは3つのリスク(カビ毒・農薬・微生物)を併せ持つため、特に慎重な管理が必要です。
水産物
品目 | 規制 | 物流 | コスト | 市場 | 違反 | 総合IFI |
冷凍エビ | 4 | 3 | 4 | 5 | 4 | 70 |
冷凍かつお・まぐろ | 3 | 3 | 3 | 4 | 3 | 58 |
サーモン(養殖) | 4 | 3 | 4 | 5 | 4 | 70 |
養殖ティラピア | 4 | 3 | 4 | 3 | 4 | 72 |
冷凍貝類(ムール貝等) | 4 | 3 | 4 | 3 | 4 | 72 |
乾燥小魚 | 3 | 2 | 3 | 3 | 3 | 56 |
イカ | 3 | 2 | 3 | 4 | 3 | 54 |
タコ | 3 | 2 | 3 | 4 | 3 | 54 |
魚粉(食品原料) | 4 | 2 | 3 | 3 | 4 | 66 |
海藻類(乾燥わかめ等) | 3 | 2 | 3 | 4 | 3 | 54 |
コメント
高リスク(注意が必要)
- 冷凍エビ:抗菌剤残留違反が多発。重点検査対象国あり。冷凍物流コストも高い
- サーモン(養殖):抗菌剤残留・寄生虫リスク。輸入量は大きいが検査強化対象
- 養殖ティラピア・冷凍貝類:抗菌剤残留・ノロウイルス違反が散発。高リスク寄り
中リスク(管理すれば対応可能)
- 冷凍かつお・まぐろ:ヒスタミン発生がリスク。管理すれば参入は比較的容易
- 乾燥小魚:ヒスタミン・寄生虫リスク。違反事例はあるが中程度
- イカ・タコ:腐敗・寄生虫リスク。違反は多くないが管理が必須
- 魚粉:残留農薬・抗菌剤検出ケースあり。飼料起源リスクに注意
- 海藻類:ヒ素や重金属リスク。違反件数は多くないが長期的監視対象
主要リスク要因
- 抗菌剤残留:養殖魚に使用される薬剤
- ヒスタミン:魚の鮮度低下で発生する毒素
- 寄生虫・ノロウイルス:微生物汚染
- 重金属・ヒ素:海洋汚染由来
水産品は温度管理と鮮度管理が成功の鍵となります。
畜産物・乳製品
品目 | 規制 | 物流 | コスト | 市場 | 違反 | 総合IFI |
牛肉 | 5 | 3 | 4 | 4 | 3 | 78 |
豚肉 | 4 | 3 | 4 | 4 | 3 | 70 |
鶏肉 | 4 | 3 | 4 | 4 | 3 | 70 |
羊肉 | 4 | 3 | 4 | 3 | 3 | 72 |
加工肉製品 | 4 | 3 | 4 | 3 | 4 | 74 |
ナチュラルチーズ | 4 | 3 | 3 | 5 | 3 | 64 |
発酵乳(ヨーグルト等) | 4 | 3 | 3 | 4 | 3 | 66 |
アイスクリーム | 3 | 3 | 3 | 4 | 2 | 58 |
バター | 3 | 3 | 3 | 4 | 2 | 58 |
粉ミルク | 4 | 3 | 3 | 3 | 3 | 68 |
コメント
最高リスク(赤信号)
- 牛肉:BSE(牛海綿状脳症)関連で長らく輸入規制対象。現在も年齢制限や原産国要件あり
- 豚肉:ASF(アフリカ豚熱)影響で一部地域は禁止。検疫・冷凍物流の負担大
- 鶏肉:鳥インフルエンザ関連で輸入停止措置が頻発。安定供給にリスク
- 羊肉:輸入量は限られるが、OIE関連規制で高リスク
- 粉ミルク:乳児用は特に厳格管理。輸入国証明必須で検査体制が整っていないと困難
中リスク(管理次第で対応可能)
- 加工肉製品:微生物検査・輸入検査証明書必須。違反事例も散発
- ナチュラルチーズ:リステリア菌リスク。違反事例は散発だが市場性は高い
- 発酵乳:リステリア・大腸菌群の監視対象。管理次第で扱いやすい
低リスク(比較的扱いやすい)
アイスクリーム・バター:冷凍物流コストはあるが、違反事例は少なくリスク比較的低い
主要リスク要因
- 動物疫病:BSE、ASF、鳥インフルエンザ
- 微生物汚染:リステリア菌、大腸菌群
- 動物由来食品は疫病リスクが最大の障壁
穀物・豆類
品目 | 規制 | 物流 | コスト | 市場 | 違反 | 総合IFI |
小麦 | 4 | 2 | 3 | 5 | 3 | 60 |
とうもろこし | 4 | 2 | 3 | 5 | 3 | 60 |
大豆 | 4 | 2 | 3 | 5 | 3 | 60 |
米 | 3 | 2 | 3 | 4 | 2 | 52 |
そば | 4 | 2 | 3 | 3 | 4 | 66 |
えんどう豆 | 3 | 2 | 3 | 4 | 2 | 52 |
レンズ豆 | 3 | 2 | 3 | 4 | 2 | 52 |
ひよこ豆 | 3 | 2 | 3 | 4 | 2 | 52 |
緑豆 | 3 | 2 | 3 | 4 | 2 | 52 |
落花生(参考) | 5 | 2 | 3 | 4 | 5 | 74 |
コメント
最高リスク(赤信号)
- 落花生:豆類としても分類されるが、アフラトキシン違反が突出。ナッツカテゴリで既に赤信号
- 米:国家貿易管理の枠組みがあり、一般事業者が自由に輸入するのは困難
中リスク(注意が必要)
- そば:残留農薬違反が散発。アレルゲン管理も必要
- えんどう豆・レンズ豆・ひよこ豆・緑豆:比較的リスクは低いが、原産地によっては残留農薬やカビ毒の事例あり
低リスク(実務は安定)
小麦・とうもろこし・大豆:輸入依存度が非常に高く、国内需給の基幹品目。残留農薬・遺伝子組換え表示のリスクはあるが、インフラが整っており実務は安定
重要ポイント
- 国家貿易:政府が輸入を管理する制度(米など)
- アレルゲン管理:そばは特定原材料の表示義務あり
- 基幹穀物は輸入インフラが整備済み
- 豆類は全般的に中程度のリスク

主要穀物は輸入システムが確立されているため実務的には扱いやすい品目です。
蜂産品・甘味料
品目 | 規制 | 物流 | コスト | 市場 | 違反 | 総合IFI |
はちみつ | 3 | 2 | 3 | 4 | 3 | 54 |
プロポリス | 4 | 2 | 3 | 3 | 4 | 66 |
ローヤルゼリー | 4 | 2 | 3 | 3 | 4 | 66 |
メープルシロップ | 3 | 2 | 3 | 4 | 2 | 50 |
アガベシロップ | 3 | 2 | 3 | 3 | 2 | 52 |
コメント
低リスク(比較的扱いやすい)
- メープルシロップ:主にカナダ産。規制リスクは低く、偽装表示・糖分混入の可能性が監視対象
- アガベシロップ:比較的新しい輸入甘味料。残留農薬や糖組成の偽装が課題だが違反事例は少なめ
中リスク(注意が必要)
はちみつ:抗生物質残留(クロラムフェニコール等)の違反事例あり。中国産を中心に監視強化。比較的安定はしているがロット管理必須
中〜高リスク(境界管理が重要)
プロポリス・ローヤルゼリー:サプリ的要素が強く、薬機法との境界管理が必要。未承認成分・表示違反リスクが散発
重要ポイント
- 抗生物質残留:蜜蜂の病気治療に使用される薬剤
- 薬機法:医薬品医療機器等法(健康効果を謳うと規制対象)
- クロラムフェニコール:使用禁止の抗生物質

蜂製品は健康効果を謳いやすいため、薬機法との境界に特に注意が必要です。
健康食品・サプリメント
品目 | 規制 | 物流 | コスト | 市場 | 違反 | 総合IFI |
ビタミンサプリ | 4 | 2 | 3 | 4 | 3 | 64 |
ミネラルサプリ | 4 | 2 | 3 | 4 | 3 | 64 |
プロテインパウダー | 3 | 2 | 3 | 5 | 2 | 52 |
アミノ酸サプリ | 4 | 2 | 3 | 4 | 3 | 64 |
ハーブサプリ | 4 | 2 | 3 | 3 | 4 | 66 |
ダイエット食品 | 5 | 2 | 4 | 3 | 5 | 82 |
コラーゲンサプリ | 4 | 2 | 3 | 4 | 3 | 64 |
健康茶 | 4 | 2 | 3 | 3 | 4 | 66 |
グリーンスーパーフード | 4 | 2 | 3 | 3 | 4 | 66 |
プロバイオティクス | 4 | 3 | 4 | 4 | 4 | 72 |
コメント
低〜中リスク(安定しているが注意必要)
ビタミン・ミネラル・アミノ酸・コラーゲン系:比較的安定しているが、薬機法による表示規制・許可要件が重要
中リスク(確認必須)
- ハーブサプリ・健康茶:未承認成分・医薬品的効能表示で違反事例が散発。輸入時の確認が必須
- グリーンスーパーフード:重金属(鉛・カドミウム)や農薬残留がリスク。RASFFでも散発的に通知
高リスク(赤寄り)
プロバイオティクス:乳酸菌等の生菌を扱うため、保存・輸送条件が厳しい。違反も散発
最高リスク(最もハイリスク)
ダイエット食品:無承認医薬成分(シブトラミン等)が混入する事例が国際的に多発
重要ポイント
- 薬機法:医薬品医療機器等法(健康効果の表示を厳格に規制)
- シブトラミン:副作用が強い禁止ダイエット成分
- RASFF:EU食品安全警報システム
健康食品・サプリ(無承認医薬成分・表示違反)監視リスクと実務対策

健康効果を謳う製品ほど薬機法規制が厳しく、ダイエット食品は違法成分混入リスクが最も高い分野です。
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