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中国→日本 輸送“高速化”完全ガイド|今日から実装できる実務ノウハウ

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なぜ”高速化”は小さな積み重ねで決まる?

中国輸送の高速化

はじめに|“速さ”は小さな作業の積み重ねで決まります

中国から日本へのリードタイム短縮は、船や飛行機の速度ではありません。情報の正確さ、判断の早さ、連携のうまさで決まります。遅れの多くは、梱包設計、ラベル貼り、SI提出、カット管理、通関書類準備、港での搬出予約など、小さな作業の遅れが積み上がって起きます。

このページは、中国輸送の実務担当者が「明日から回せる」形で、工程別の高速化ノウハウをご紹介していきます。

用語ミニ辞典(1行で理解)

まずは、記事で登場する用語の解説です。

  • SI:船積指示書。船社やNVOCCへ出す積付・本船情報です。
  • VGM:Verified Gross Mass。総重量の確定申告です。(SOLAS改正で義務化&VGM未提出は本船積み不可。)
  • AFR:日本向け海上コンテナ貨物の事前情報。本船の積地出港の24時間前までに電子提出(JP24)
  • D/O:荷渡指図書。eD/Oはその電子版です。
  • CY/CFS:コンテナヤード/混載倉庫。CY直送は積替えを減らします。
  • AEO通関業者:税関の認定業者。AEO特例により通関手続の簡素化・迅速化のメリットがあります(検査免除を意味しません)。
  • 到着前審査で審査済+他法令(関税法70条)クリア、Sea Waybill等で原本待ちなし、eD/Oや搬出予約を前倒し――の条件が揃うと当日搬出が現実的になります。

ここまでの基本用語を押さえたら、次は実際の業務で「どこから着手すれば速くなるか」を見ていきましょう。

今日からの最短手順(15分で着手)

  1. 「物流KPI」スプレッドシートを複製(社内共通フォルダに保存)
  2. フォワーダーポータルの出港一覧CSVを貼り付け
  3. ピボットで「CUT遵守率」「到着当日出荷率」を自動計算
  4. 毎朝9時に更新し、URLをチームに共有

ボトルネックを特定する5つの視点

このように現状を数字で“見える化”したら、次は何が遅れを生んでいるのかを把握します。遅延の原因は、次の5つの領域に整理できます。いずれもツールと標準化で改善できます。

  1. 情報管理
  2. 物理作業
  3. 締め切り管理
  4. 通関書類
  5. 日本側の搬出管理
例えば、港湾や通関の進捗を一元管理できる「DIGISHIP」などのデジタルツールを使うだけでも、多くの作業を簡素化できます。

1. 情報管理

  • 課題:SI・Invoice・PLの提出漏れ、形式のバラつき、承認待ちの長期化。
  • 最短化案:書類のテンプレを固定する。共有フォルダに「到着前」ディレクトリを作成し、提出物(書類)を一本化。

2. 物理作業

  • 課題:梱包仕様の不統一、ラベル欠落、バンニング待ちが発生しやすい。
  • 最短化案:出荷チェックA4(写真の並べ順つき)で“出す前”に完結

中国輸送を止めない梱包・ラベル・バンニング標準化の実務ポイント

3. 締切管理

  • 課題:CY搬入、VGM、AFRなどのカット逆算が曖昧になりやすい。
  • 最短化案:カレンダーにカット逆算テンプレを登録。祝日前は自動で3営業日前倒し。

中国輸入の当日搬出を実現する方法|予備審査・eD/O・搬出予約の実務ノウハウ

4. 通関書類

  • 課題:HSコード誤り、B/L原本待ち、申告内容の不一致になることが多い。
  • 最短化案:SKU申告マスターを作り、品名・HS・材質・原産国を固定。通関業者レビューを月末で一括管理する。

中国輸送を遅らせないノミネーション活用と書類・カット管理の実務

5. 日本側の搬出シーン

  • 課題:D/O発行待ち、搬出予約システムの操作遅れが発生する。
  • 最短化案:eD/Oを標準化。ETA確定時点で搬出予約とトラック確保を前日までに完了

いずれも、標準化(SOP化)とデジタル化で解決可能です。

高速化KPIの基準値と計測方法

配送をどれくらい速くできたか、数字で確認するには、わかりやすい目標(=KPI)を決めることが大切です。下を参考に、結果を見える形にして、改善を続けていきましょう。

  • 到着当日出荷率=「当日搬出完了件数/総件数」
  • CUT遵守率=「カット厳守件数/総出港件数」
  • eD/O比率=「電子D/O利用件数/全件」
  • CY直送率=「工場→港直送件数/全出荷件数」
  • 検査率=「検査件数/全申告件数」
  • 平均LT/中央値LT=「出港→納品の所要日数」

これらをGoogle Data StudioやPower BIでダッシュボード化し、毎朝9時の更新をルール化すると、関係部署全体でスピードの“見える化”が進みます。

トラブルが起きたときの備えと対応の準備

配送を速くするには、普段の効率だけでなく、問題が起きたときにすぐ対応できることも大切です。港でのストライキ、台風、税関でのトラブルは必ず起こるものなので、別のルートや誰が何をするかを前もって書類にまとめておきましょう。

1.早めに気づく仕組みをデジタル化しましょう。

MarineTraffic、PortCall Monitor、Windyなどのサービスを連携させて、SlackやTeamsに自動でお知らせが届くようにします

2.代わりに頼める業者リストを作成しておきましょう。

主要な港(上海・寧波・青島など)ごとに3社を登録。契約書に「代わりの便を使うときは承認不要」と書いておきます

緊急時の別ルートを想定しておきます。

便が欠航したら、上海→大阪経由の船便、またはFedExの優先航空便に切り替え

対応の流れ:

  1. トラブル発生を検知→Slackに自動でお知らせ
  2. 対応会議→別の方法を選ぶ(15分以内)
  3. 承認→業者に連絡・書類を作り直す(1時間以内)
  4. 社内に報告→納期への影響を伝える

この仕組みを取り入れた会社では、台風のときの平均遅延日数が3.2日から0.8日に短くなりました。この仕組みを支えるのが、各拠点で統一して使えるトラブル対応テンプレートです。

トラブルが起きたときの対応手順(各拠点で使えるテンプレート)

トラブルが起きたときの対応方法をあらかじめ決めておき、どの拠点でもすぐに行動できるようにします。

主なトラブルと対応の流れ:

通関システムの不具合
  1. NACCS(通関システム)の障害情報を確認
  2. 税関に連絡
  3. NACCS障害時は『暫定取扱要領』に基づく代替申告(紙等)で継続。具体手順は通関業者の指示に従う。
港でのストライキ
  1. 港の管理局の発表を確認
  2. 別の港に荷物を運ぶよう指示
  3. 工場に積み込みを止めるよう連絡
台風の進路が変わった
  1. 船会社のスケジュールを確認
  2. 到着予定日を計算し直す
  3. 倉庫に搬入を延期するよう指示
船会社が出港を延期(ロールオーバー)
  1. 新しい船荷証券番号を登録
  2. 通関業者に書類の差し替えを依頼
  3. お客様に新しい到着予定日を連絡

連絡網テンプレート:

担当代替担当連絡手段応答SLA
フォワーダー責任者ロジ担当マネージャーSlack/電話15分以内
通関業者担当通関代理人メール/LINE WORKS20分以内
工場出荷責任者生産管理者WeChat30分以内

代替ルート早見表:

出港港代替入港港備考
上海大阪・神戸西日本ルート確保
寧波名古屋・清水中部ルート代替
青島東京・横浜関東ルート転送

デジタルツールで約束事と情報を「見える化」する

配送を速くするには、「誰が・何を・いつまでにやるか」をはっきり見えるようにする管理が欠かせません。従来のメールやExcelでの管理には限界があるため、次のような方法をおすすめします。

  • 契約・締切の管理: AirtableやNotionで自動的にリマインダーを設定
  • 通関データの管理: TradeWizやImportBaseでNACCS・EDIと連携
  • 進捗状況の確認: Google Data StudioやPower BIで書類提出率・締切遵守率・搬出完了率をグラフ化
  • 自動お知らせ: Slack BotやLINE WORKS Botで状況をリアルタイムに通知

実際に導入した企業では、平均リードタイムが8.4日から6.7日に短縮され、締切ミスが12件から2件に減少(83%改善)しました。

社内外の連携強化:みんなで情報を共有する仕組み

配送を速くするには、社内と外部が協力し合うことが大切です。購買、品質、生産、物流、通関、フォワーダーの各担当者が同じ情報を見られるようにします。

  • 定例会議の習慣化: 毎週15分のオンライン会議で港別・商品別の問題をすぐに共有
  • 書類の一元管理: Google Driveの専用フォルダにInvoice・PL・B/L・VGMをまとめて保存
  • 進捗状況の全員公開: 社内掲示板に出港率・約束事の遵守率をリアルタイムで表示
  • 取引業者の見直し: 検査回数・修正履歴を3か月ごとに分析・共有

これにより部署間の情報の遅れがなくなり、やり直しが40%減った例もあります。

実際のデータと事例:成功も失敗も学びに!

成功した例

  • 上海発→神戸港でSea Waybill導入+電子署名により原本待ちをゼロに、出港率100%を4か月継続
  • 梱包・ラベルを統一したことで倉庫での保管期間が2.5日から0.8日に短縮
  • 進捗を見える化したことで担当者別の締切ミスが半分に

失敗した例

  • 約束事を導入したものの通知設定が不十分で共有漏れが発生、翌便送りが5件発生
  • RFID導入時に工場ごとにコード体系が違っていて、検品スキャンミスが多い。

教訓:ツールよりも「運用ルールの一貫性」が成果を左右します。

効果を数値化する:施策別KPI設計例

これらの経験から見えてきた共通点があります。

教訓:ツールよりも「運用ルールの一貫性」が成果を左右します。

こうした成功・失敗を分析することで、どの施策が最も効果を生んだのかを定量的に把握できます。以下は、実際のKPI設計例です。

施策改善内容効果率検証期間
SI・VGM前倒し運用船積遅延ゼロ化100%3ヶ月
eD/O導入D/O待機1.5日→0.2日▲87%即効
SKU統一検査率30%→8%▲73%半年
CY直送港滞留2日→0.5日▲75%2ヶ月
二段ロジ欠品率5%→1%▲80%継続
デジタルSLAcut漏れ月12件→2件▲83%3ヶ月

配送スピードアップを続けるための手順書と教育の仕組み

  • 手順書-01 配送業者の指定: FOB/FCA条件+指定フォワーダー+締切を明記
  • 手順書-02 梱包・ラベルの統一: 合板パレット+統一サイズ+2面にラベル貼付
  • 手順書-03 書類の早期準備: 船積指示書のテンプレート固定+Sea Waybill+電子署名
  • 手順書-04 到着前の手続き&搬出予約: 到着前申告+電子D/O+前日にスロット確定

教育には「LINE WORKSのチェックリスト」「5分でわかる動画マニュアル」「現場でQRコードから見られる手順書」を活用し、新しく入った人や外部スタッフもスマホで最新の手順をすぐ確認できるようにします。

大切なポイントのまとめ

  • 配送を速くするには、輸送手段ではなく、締切の設計と情報共有の工夫が重要
  • 約束事とダッシュボードで責任と期限を一か所で管理
  • 梱包・ラベルを統一して物理的なロスを削減
  • デジタル連携+進捗の見える化で改善を自動的に継続
  • リスク分散と代替ルート設計で突発的な遅延にも強い配送網を構築

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